知らないと危険!中小企業が見落とす景品表示法の3つの注意点
公開日:2026年05月18日
景品表示法における注意点とは、消費者の誤解を招く不当表示や過大な景品提供を避け、公正な取引を実現するための事業者向けルールです。
目次
- よくある失敗パターンと原因分析
- 不当表示(優良誤認)の罠:根拠なき「No.1」表記や効果・性能の過大表現
- 不当表示(有利誤認)の罠:不明瞭な二重価格表示や割引率の強調
- 景品規制(総付景品・懸賞)の見落とし:景品類の提供制限違反
- 解決のための考え方・フレームワーク
- 景品表示法の基本原則「適正な表示と公正な競争」の理解
- 広告チェック体制構築の3つのステップ
- 「根拠」と「客観性」に基づいた情報開示の重要性
- ステップ別の具体的解決策
- ステップ1:広告・景品に関する社内ガイドラインの作成と共有
- ステップ2:表示根拠資料の整備と確認プロセスの確立
- ステップ3:消費者庁や業界団体のガイドライン情報の定期的なチェック
- ステップ4:専門家(弁護士・コンサルタント)への相談も視野に
- 実践事例
- 事例1:Webサイトのリニューアルで表示適正化と集客増に成功した中小企業
- 事例2:SNSキャンペーンで景品規制を遵守し、ブランドイメージを向上させた中小企業
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- 参考・出典
中小企業の経営者様、マーケティング担当者様、このようなお悩みはありませんか?
- 魅力的な広告を作りたいが、どこまで表現して良いか分からない
- 「地域No.1」といった表現を使いたいが、問題ないか不安
- 景品付きキャンペーンを企画したいが、法律が難しくてよく分からない
「景品表示法」と聞くと、大手企業の話で自社には関係ない、と感じるかもしれません。しかし、その「知らなかった」が、企業の信頼を失墜させ、事業継続を揺るがす大きなリスクに繋がりかねません。この記事では、中小企業が特に見落としがちな景品表示法の3つの注意点を、具体的な対策とともに分かりやすく解説します。
よくある失敗パターンと原因分析
多くの中小企業が景品表示法違反に陥る原因は、専門知識やリソース不足からくる意図しない誇張表現や、景品・表示規制の曖昧な理解にあります。特に法務部門を持たない企業では、日々の業務に追われ、法改正などの情報収集が後手に回りがちです。その結果、消費者庁からの行政指導や、最悪の場合、売上額の3%にもなる課徴金の対象となるリスクを抱えてしまいます。
不当表示(優良誤認)の罠:根拠なき「No.1」表記や効果・性能の過大表現
優良誤認表示とは、商品やサービスの内容が、実際のものよりも著しく優れていると消費者に誤解させる表示のことです。
- 「地域No.1」「業界最高水準」といった裏付けのない表現
- 「必ず痩せる」「塗るだけでシミが消える」など、効果・性能を保証する過大な表現
例えば、「顧客満足度No.1」という表示は、消費者の購買意欲に大きく影響します。ある調査では、「No.1表示」を見たことがある消費者の約5割が、商品購入の意思決定に「影響する」と回答しています(消費者庁 令和5年度調査)。しかし、その根拠が客観的な調査に基づいたものでなければ、優良誤認表示と見なされます。
実際に2023年度には、消費者庁が景品表示法違反を理由として「No.1表示」について措置命令を行った事件が13件に上りました(消費者庁 2023年度発表)。多くの中小企業では、競合他社が使っているからという理由で安易に用いてしまうケースが見受けられますが、これは非常に危険です。
不当表示(有利誤認)の罠:不明瞭な二重価格表示や割引率の強調
有利誤認表示とは、価格などの取引条件について、実際よりも著しく有利であると消費者に誤解させる表示を指します。
- 「今だけ半額」の「今だけ」の期間が不明確、または恒常的に行われているセール表示
- 比較対照となる「通常価格」が、最近相当期間にわたって販売された実績のない価格である二重価格表示
- 「全員にプレゼント」と謳いながら、実際には抽選だったり、適用条件が小さく分かりにくい場所に書かれていたりする広告
例えば、Webサイトで「通常価格10,000円 → 特別価格5,000円!」と表示する場合、この「通常価格10,000円」が、過去に一定期間きちんと販売されていた実績がなければ有利誤認にあたる可能性があります。良かれと思って行った割引キャンペーンが、かえって企業の信頼を損なう原因になり得るのです。
景品規制(総付景品・懸賞)の見落とし:景品類の提供制限違反
景品表示法では、不当な顧客誘引を防ぐため、提供できる景品類の最高額や総額に上限を設けています。これを知らずにキャンペーンを行うと、意図せず法律違反を犯すことになります。
- 総付景品(ベタ付け景品): 商品・サービスの購入者や来店者全員に提供する景品。景品の上限額は、取引価額が1,000円未満の場合は200円、1,000円以上の場合は取引価額の10分の2と定められています。
- 懸賞(クローズド懸賞): 抽選やクイズの正解者など、一部の顧客に提供する景品。景品の最高額は、取引価額が5,000円未満の場合は取引価額の20倍、5,000円以上の場合は10万円と定められています。また、景品の総額も懸賞に係る売上予定総額の100分の2までと決められています。
例えば、3,000円の商品を購入した方全員に1,000円分のギフト券をプレゼントする企画は、上限額(3,000円の10分の2で600円)を超えているため違反となります。
解決のための考え方・フレームワーク
景品表示法違反を防ぐ基本的な考え方は、消費者保護という法の趣旨を理解し、「根拠」と「客観性」に基づいた広告チェック体制を構築することです。これは、単なるリスク回避ではなく、顧客からの信頼を築くための重要な企業活動と捉えるべきです。
景品表示法の基本原則「適正な表示と公正な競争」の理解
景品表示法の目的は、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ることにあります。つまり、嘘や大げさな表現で消費者を騙すのではなく、正しい情報を伝え、公正な市場で競争することを企業に求めているのです。
この原則を理解する上で重要なのが、「表示の根拠資料の提出義務」です。消費者庁から広告表示の根拠を示す資料の提出を求められた場合、事業者は原則として15日以内に提出しなければなりません。資料を提出できない、またはその資料が表示の裏付けとして認められない場合、不当表示とみなされます。「何となく」で作った広告は通用しないのです。
広告チェック体制構築の3つのステップ
リソースの限られる中小企業でも、以下の3つのステップでチェック体制を構築することで、違反リスクを大幅に低減できます。
- ステップ1:企画段階でのリスク洗い出し
キャンペーンや広告を企画する最初の段階で、「この表現は消費者にどう伝わるか?」「誤解を招く可能性はないか?」を検討します。特に「No.1」「日本初」などの強い言葉を使いたい場合は、その根拠となるデータが客観的かつ信頼できるものかを確認します。
- ステップ2:制作段階での表現チェック
広告のコピーやデザインを作成する段階で、具体的な言葉遣いやレイアウトが法律に抵触しないかを確認します。例えば、割引の適用条件や景品の注意事項などを、意図的に小さくしたり分かりにくくしたりしていないか、消費者目線でチェックします。
- ステップ3:公開前の最終確認
広告を世に出す直前に、複数人の目で最終確認を行います。担当者だけでなく、商品やサービスに詳しくない第三者の視点を入れることで、思わぬ誤解やリスクを発見できることがあります。

「根拠」と「客観性」に基づいた情報開示の重要性
すべての広告表現は、「根拠」と「客観性」に基づいている必要があります。これは、企業が消費者に対して負うべき説明責任です。
- 根拠となるエビデンスの例:
- 数値データ: 公的機関の統計、信頼できる調査会社による市場調査結果
- 専門家の意見: 論文、専門書、有識者による評価
- 社内データ: 自社で行った性能試験の結果(ただし、試験方法が客観的かつ合理的であること)
これらのエビデンスは、いつでも提出できるよう、広告とセットで保管しておくことが重要です。
ステップ別の具体的解決策
景品表示法のリスクを具体的に回避するためには、社内ガイドラインの策定、根拠資料の整備、最新情報の収集、専門家への相談という4つの行動が不可欠です。これらを仕組み化することで、担当者個人の知識に依存しない、安定したコンプライアンス体制を築くことができます。
ステップ1:広告・景品に関する社内ガイドラインの作成と共有
担当者が変わっても判断基準がブレないよう、自社独自の広告表現ガイドラインを作成しましょう。
- チェックリストの整備: 「『No.1』表示を使う際の根拠資料は揃っているか?」「二重価格表示の元となる価格は、直近8週間のうち4週間以上の販売実績があるか?」など、具体的な確認項目をリスト化します。
- OK/NG表現例の明記: 自社の業界でよく使われる表現について、「この表現はOK」「この表現は根拠がないとNG」といった具体例をまとめておくと、担当者が判断しやすくなります。
- 定期的な情報共有: 社内勉強会などを実施し、担当者間で最新の注意点やヒヤリハット事例を共有する場を設けましょう。
最近では、AIを活用して広告文を作成するケースも増えていますが、AIが生成したキャッチコピーが意図せず景品表示法に抵触する可能性もあります。便利なツールを活用する際も、最終的なチェックは人間が行うという意識が重要です。詳しくは「もう広告文で悩まない!生成AIで作るMeta広告キャッチコピー5選」でも解説していますので、併せてご覧ください。
ステップ2:表示根拠資料の整備と確認プロセスの確立
広告を作成する際は、必ずその表現の根拠となる資料をセットで保管するルールを徹底しましょう。
- 媒体ごとの確認フロー: Webサイト、SNS、チラシなど、媒体ごとに誰がいつ、何をチェックするのかというフローを明確にします。
- 根拠資料の保管ルール: 広告クリエイティブと根拠資料を紐づけてファイリングし、いつでも参照できるようにしておきます。保管期間も定めておくと良いでしょう。
- 景品価格の算出根拠: キャンペーンで提供する景品の価格(市場価格)を証明する資料(レシート、ECサイトのスクリーンショットなど)も忘れずに記録・保管します。

ステップ3:消費者庁や業界団体のガイドライン情報の定期的なチェック
景品表示法に関するルールや解釈は、社会の変化に合わせて更新されることがあります。常に最新の情報をキャッチアップする習慣が重要です。
- 消費者庁のWebサイト: 「景品表示法」のページには、法令やガイドライン、Q&A、過去の違反事例などが豊富に掲載されています。ブックマークして定期的に確認しましょう。
- 業界団体の自主規制ガイドライン: 業界によっては、法律よりもさらに厳しい独自のガイドラインを設けている場合があります。所属する業界団体の情報も必ずチェックしてください。
ステップ4:専門家(弁護士・コンサルタント)への相談も視野に
自社だけでの判断に不安がある場合や、新しいタイプの広告・キャンペーンを実施する際には、専門家の知見を借りることも有効な手段です。
- グレーゾーンの表現に関する相談: 「この表現は法律的に問題ないか?」といった具体的な相談が可能です。
- コンプライアンス体制の構築支援: 広告チェックフローの構築や社内研修の実施など、体制づくりそのものをサポートしてもらうこともできます。
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実践事例
景品表示法を遵守したマーケティングは、顧客からの信頼獲得に直結し、結果として事業の持続的成長を支える強固な基盤となります。
事例1:Webサイトのリニューアルで表示適正化と集客増に成功した中小企業
ECサイトで健康食品を販売する地方のメーカー(従業員10名)では、リニューアルを機にWebサイトの全表現を見直しました。「驚きの効果」「満足度98%」といった曖昧で根拠の薄い表現を削除し、代わりに製品の成分に関する公的な研究データや、顧客アンケートの具体的な調査方法(調査期間、対象者、質問項目)を明記しました。
一時的にインパクトは弱まったように見えましたが、結果として、誠実な情報開示が顧客の信頼を獲得。「この会社は信頼できる」という口コミが広がり、リピート率が向上し、長期的に安定した売上を確保することに成功しました。
事例2:SNSキャンペーンで景品規制を遵守し、ブランドイメージを向上させた中小企業
地域の飲食店(個人経営)が、Instagramでフォロワー向けのプレゼントキャンペーンを実施しました。その際、景品の上限額や応募条件、当選者数、抽選方法などを投稿文に明確に記載。ユーザーからの質問にも丁寧に回答する姿勢を徹底しました。
法律をきちんと守った公正なキャンペーン運営は、ユーザーに安心感を与え、「誠実なお店」というブランドイメージの向上に繋がりました。結果的に、キャンペーンをきっかけに新規来店客が増加し、エンゲージメントの高いファンを獲得できました。
まとめ
本記事では、中小企業が見落としがちな景品表示法の3つの注意点と、その具体的な対策について解説しました。
- 不当表示(優良誤認): 根拠のない「No.1」表示や過大な効果表現は行わない。
- 不当表示(有利誤認): 二重価格表示や割引条件は、ルールに則って明確に記載する。
- 景品規制: キャンペーン景品の上限額・総額を必ず確認する。
これらのリスクを回避するためには、「根拠」と「客観性」を常に意識し、社内に広告チェックの仕組みを構築することが不可欠です。
景品表示法を遵守することは、単なる義務やリスク回避策ではありません。それは、お客様に対して誠実であるという企業の姿勢を示す、最も基本的なコミュニケーションです。法律を正しく理解し、日々のマーケティング活動に活かすことが、顧客からの信頼を勝ち取り、持続可能な事業成長を実現するための確かな一歩となります。
まずは自社のWebサイトやチラシを、今日お伝えした視点で見直すことから始めてみませんか。
よくある質問(FAQ)
Q. 景品表示法に違反した場合、どのような罰則がありますか?
A. 景品表示法に違反した場合、まず消費者庁から表示の是正や再発防止策を命じる「措置命令」という行政処分が下されます。措置命令に従わない場合や、特に悪質なケースでは、刑事罰として2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。また、不当表示によって得た売上額の3%が「課徴金」として国に納付を命じられる課徴金制度もあります。
Q. 個人事業主でも景品表示法の対象になりますか?
A. はい、対象になります。景品表示法は、株式会社などの法人だけでなく、個人事業主も含め、消費者向けに商品やサービスを提供するすべての事業者が対象となります。事業の規模は関係ありませんので、個人で店舗やネットショップを運営している場合も、法律を遵守する必要があります。
Q. 他社の広告表現を参考にしても問題ありませんか?
A. 他社の広告表現を参考にすること自体は問題ありませんが、それをそのまま自社で使うことにはリスクが伴います。なぜなら、参考にしている他社の広告が必ずしも景品表示法を遵守しているとは限らないからです。必ず自社の商品・サービスの内容に基づき、客観的な根拠があるかどうかを自身で確認し、判断することが重要です。
Q. 「お得」や「最高」といった言葉はどこまで使えますか?
A. 「最高」という言葉は、客観的な調査結果など、事実としての裏付けがあれば使用可能です。例えば「業界シェアNo.1」といったデータがあれば「業界最高のシェア」と表現できます。一方、「お得」のような主観的で曖昧な表現は、それ自体が即座に違反となるわけではありませんが、消費者に誤解を与えるような過度な強調は、有利誤認表示に繋がるリスクがあるため注意が必要です。
Q. SNSでのユーザー投稿も規制の対象になりますか?
A. 事業者がインフルエンサーなどに金銭や商品を提供して投稿を依頼し、その投稿内容を事業者が実質的に管理・関与していると判断される場合は、「事業者の表示」とみなされ景品表示法の規制対象となります。これは「ステルスマーケティング規制」と呼ばれます。ユーザーの自発的な投稿は対象外ですが、企業が関与する際は広告であることを明記するなどの注意が必要です。SNSでのファン作りについては「InstagramとX(Twitter)、地方企業のファン作りに向いているのは?、地方企業のファン作りに向いているのは?.html)」もご参考ください。
参考・出典
景品表示法対策を含めた総合的なマーケティング戦略について考える際には、中小企業のマーケティング予算、売上の何パーセントが目安なの?もご参考ください。
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