SNS採用で地方建設会社の応募が5倍になった手法

【鳥取県の建設会社】採用コストゼロで若手応募者を5倍にしたSNS活用4STEPのイメージ画像
鳥取県の建設会社のSNS採用とは、スマホ動画を活用して若手求職者を獲得する手法です。

目次


「大手求人媒体に毎年数百万円を支払っているのに、若手からの応募がまったく来ない…」とお悩みの地方中小企業の経営者や採用担当者の方は非常に多いのではないでしょうか。特に地方の建設業や製造業など、いわゆるBtoBやノンキャリアの職種では、採用難易度が年々上昇しています。しかし、人口減少が進む地域であっても、やり方次第で採用コストを抑えながら若い人材を惹きつけることは十分に可能です。この記事では、ある地方の建設会社が「採用コストほぼゼロ」で「20代の若手応募者を5倍」に増やしたSNS採用の具体的な4つのステップを詳しく解説します。これをお読みいただくことで、自社に予算やリソースがなくても、大手企業に対抗して優秀な若手を獲得する具体的な道筋が見えてくるはずです。


なぜ求人媒体に数百万円払っても若手が1人も来ないのか?

求人媒体での「スペック競争」に参加している限り、地方中小企業が大手企業や都市部の企業に採用で勝つことは不可能です。

地方の建設業における採用環境は極めて深刻です。厚生労働省鳥取労働局が2026年4月に発表した「鳥取県内の雇用情勢」によると、令和7年度(2025年度)の鳥取県内の通年平均有効求人倍率は「1.27倍」を記録し、全国平均の「1.20倍」を大きく上回る高水準で推移しています。さらに、建設業関連の職種においては、全国的に「建設躯体工事従事者」が9.38倍、「土木作業従事者」が6.73倍(厚生労働省 2025年4月発表)と、異次元の売り手市場が続いています。

このような環境下で、ハローワークや従来の有料求人ポータルといった「スペック(給与・年間休日・福利厚生)」だけで比較される媒体に頼っていては、資金力のある大手ゼネコンや都市部企業に競り負けるのは必然です。株式会社マイナビの調査によると、中途採用における企業1社あたりの年間採用費用総額は平均「650.6万円」にのぼり、新卒採用の1人あたり採用単価も2024年卒には平均「56.8万円」へと上昇し続けています(マイナビ 中途採用状況調査2025年版/2024年卒企業新卒内定状況調査)。予算に限りのある地方中小企業がこのマネーゲームに参入し続けることは、経営を圧迫する大きな要因となります。

さらに、地方中小企業が抱えるもう一つの課題が「デジタル上のプレゼンス(存在感)の欠如」です。今の20代〜30代の求職者は、求人票を見た後に必ず「ネット上にどんな情報があるか」を調べます。しかし、多くの地方企業のWebサイトは10年以上前に作られたまま更新されておらず、求職者が最も知りたい「どんな人と一緒に働くのか」「本当に残業はないのか」といった職場のリアルな様子がネット上に一切存在しません。

実際、私たちが支援した鳥取県の建設会社でも、Perplexity AIを使った競合調査を取り入れ、地域の同業他社や自社のデジタル上の露出度を客観的に分析しました。その結果、自社の存在がWeb検索でもSNS上でも完全に「透明人間」状態になっており、求職者にとって極めて警戒心の強い「ブラックボックス」に見えていたことが明らかになったのです。

図解:求人媒体のスペック競争とSNS採用の違い


採用コストゼロを可能にする「SNS採用」4つの具体ステップ

SNS採用の成否は「バズ」や「見栄え」ではなく、求職者の心理的不安を先回りして解消する「情報の透明性」と「応募のしやすさ」を仕組み化することにあります。

STEP 1:ペルソナ設計と「等身大の職場」の言語化

まずは「誰に届けるか」を明確に定義しました。ターゲットは「鳥取県内で働きたい20代の若手(地元志向、人間関係重視、現在の仕事に精神的疲労を感じている層)」です。 Z世代(若年層)が就職先を探す際、リクルートワークス研究所の調査(2025年9月発表)では、Instagramの利用率が64.0%、TikTokが46.0%にのぼることがわかっています。彼らが本当に求めているのは、「華々しいキャリア」や「キラキラしたオフィス」ではなく、「怒られない職場か」「人間関係は良好か」「残業の有無は本当か」という、働く上での「心理的安全性」です。

そのため、発信コンセプトを「飾らない、ありのままの現場」に設定しました。おじさん職人が不器用に若い社員を教える様子や、泥臭いけれどやりがいのある作業現場を、背伸びせずありのままキャラクター化して見せることにしました。

STEP 2:TikTok・Instagramを軸にした「スマホ1台」の動画配信

高価な撮影機材や外注の動画編集サービスは一切使わず、現場のスマートフォン1台だけで撮影を行いました。編集も無料のスマホアプリ(CapCutなど)を使い、すべて内製化(インハウス化)しています。 配信したコンテンツは、15〜30秒の縦型ショート動画です。

  • 現場の休憩時間のお弁当の中身や、たわいもない雑談風景
  • 若手社員に「この会社、正直どう?」と突然マイクを向ける本音インタビュー
  • 社長が会社の裏で楽しそうに草むしりをしているユーモラスな日常

ここで注意すべきなのが「炎上リスクや法律」の管理です。インハウス化を進めるにあたって、私たちはSNS投稿での著作権や画像利用の3原則を徹底的に社内で共有しました。商用利用が認められていないトレンド音源を避け、ロイヤリティフリーの音源を使用すること、現場の背景に第三者の車や無関係の歩行者が写り込まないよう撮影・編集時に注意することを徹底しました。

STEP 3:求職者の心理的ハードルを極限まで下げる「動線設計」

動画を見て「この会社、良さそうだな」と感じた求職者を、難解な会社のWebサイトの「応募フォーム」に誘導してはいけません。履歴書の作成や志望動機の記述が必要なフォームを見た瞬間、若者の熱量は一気に冷めてしまいます。

そこで、プロフィール欄から直接「公式LINEアカウント」へワンタップで登録できるようにし、トーク画面からスタンプ1つ、あるいは「一度話を聞いてみたいです」と気軽にメッセージを送れるようにしました。

この時、私たちは栃木県のIT企業がWantedlyで実践した面談設定の3手順をベンチマークにし、選考要素を一切排除した「カジュアル面談」を導入しました。履歴書は不要、服装も自由、オンラインでも可能とし、まずは現場の空気や一緒に働く人を「見学しに来る」ような温度感で接点を設計しました。

STEP 4:バズを追わない「エンゲージメント(指標)重視のPDCA」

地方の採用において、「100万回再生」のような全国的なバズは不要です。むしろ、鳥取県内やその近隣エリアの若者に深く刺さることが重要になります。 そのため、主要KPI(評価指標)として「総再生回数」ではなく、以下の「エンゲージメント指標」を重視しました。

  • 鳥取県内と推測されるユーザーからのコメント数
  • 投稿の「保存数」(後で見返そうとする意欲の表れ)
  • プロフィール欄からLINE公式アカウントへの遷移率

若手社員を中心とした月2回の短い振り返りミーティングを定例化し、「雨の日の建設現場ってどうなるの?」といった、求職者(ターゲット)が純粋に疑問に思いそうなテーマを次の動画企画に落とし込むPDCAサイクルを回し続けました。

図解:SNS採用を成功に導く4STEPのワークフロー


求人費350万→0円へ!若手応募が6倍になった劇的ビフォーアフター

SNSを内製化し、求職者へダイレクトにアプローチする仕組みを構築した結果、年間350万円の求人費を完全にゼロにしながら、若手応募者を劇的に増やすことに成功しました。

鳥取県の複数の地方建設会社におけるSNS運用の支援実績から見られた、共通する劇的なビフォーアフターの成果数値を以下に示します。

指標(KPI) 施策前(Before) 施策後(After)
年間採用コスト 約350万円(求人媒体掲載費) 0円(内製によるインハウス運用)
若手応募者数(20代〜30代) 2名 / 年(ほぼ高齢層のみ) 12名 / 年(約6倍に増加)
採用人数(新卒・第二新卒) 0〜1名 4名(全員SNSの動画経由)
内定辞退率・ミスマッチ離職 約40% 0%(カジュアル面談とSNSでギャップを解消)
社内エンゲージメント 低調(若手とベテランの断絶) 活性化(動画出演を通じて社内対話が激増)

特に注目すべきは、「内定辞退率およびミスマッチ離職率が0%」になった点です。従来の求人媒体では、限られた求人票の文字情報だけで応募するため、「入社してみたら想像と違った」「職場の雰囲気が合わない」といった早期離職が頻発し、多くの地方中小企業を悩ませていました。

しかし、SNSを通じて事前に「普段の飾らないおじさん職人たちのキャラクター」や「現場のリアルな大変さ」を理解し、カジュアル面談で現場の生の声を聞いてから入社した若手社員は、入社後のギャップが極めて少なくなります。結果として、定着率の劇的な向上に直結しました。


なぜ、地方の地味な建設会社がSNSで勝てたのか?

地方のノンキャリア職種がSNSで採用を成功させられた理由は、知名度を競うのではなく、プラットフォームの地域アルゴリズムを味方につけた「等身大の情報開示」にあります。

成功した要因は大きく3つに集約されます。

第一に、「綺麗でおしゃれな採用動画」ではなく「職場の人間関係の可視化」に特化した点です。中小企業向けにデジタル化支援を行っているIT専門家の武田祐樹氏は、「建設業界でも『発信した企業だけが勝つ時代』に突入している。SNSやホームページを整備し、自社の魅力や現場のリアルを透明性をもってPRすることは、求人媒体に過度なコストを支払うことなく若手人材の確保とエンゲージメント向上を両立させるための最優先の採用戦略である(現場ラボ 2026年2月)」と述べています。

大手企業が莫大な予算をかけて制作するプロ仕様のブランディング動画は、かえって求職者に「都合のいい部分だけを切り取っているのではないか」という警戒心を抱かせます。それよりも、スマホで撮られた「おじさん社員が若い社員に技術を優しく教えるシーン」や「おじいちゃん職人が新入社員にお昼ご飯をおごっている姿」のほうが、圧倒的な親近感と心理的安全性を生み出します。

第二に、代理店に頼らずに「完全にインハウス化(内製化)」した点です。SNS運用を完全に外注してしまうと、1投稿あたり数万円のコストがかかるだけでなく、撮影に担当者が同行しないため「どこか他社と同じような、作られた動画」になってしまいます。自社スタッフが日常業務の合間にスマホで撮影した「アセット(資産)」は、投稿し続ける限りWeb上に残り、24時間365日働き続ける無料の求人窓口として機能し続けます。

第三に、「アルゴリズムの地域特性(ローカルレコメンド)」を味方にした点です。 TikTokやInstagramリールなどの縦型ショート動画は、フォロワー数が「0」であっても、動画に興味を持ちそうな「ユーザーの現在地(GPS)や近隣エリア」に優先して配信されるアルゴリズムを持っています。つまり、鳥取県で投稿された動画は、鳥取県内や近隣の若者のスマホ画面に自然と表示されやすくなります。これにより、広告費をかけずとも、地元の潜在的な求職者へピンポイントにアプローチすることができたのです。


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ノウハウなし・リソースなしから始めるSNS採用内製化3ステップ

SNS採用の内製化を成功させるには、いきなり毎日の投稿を目指すのではなく、現場の業務プロセスに無理なく撮影を組み込む小さな仕組み作りから始めるべきです。

実際に地方中小企業で取り組むにあたり、よくあるつまずきが「最初から高い目標(毎日投稿、ハイクオリティな編集)を設定し、3週間で力尽きてしまう」というケースです。特に、業務を兼任している「ひとりマーケター」や総務担当者の場合、SNS運用の負担が重荷になりがちです。挫折を防ぎ、持続可能な体制を作るための3ステップを解説します。

ステップ1:社内協力体制の構築(シャイな社員を巻き込む対話術)

現場のスタッフにいきなり「動画に出てほしい」と頼んでも、ほぼ100%拒絶されます。 ここで重要なのは、「会社の深刻な採用難を解決するために、あなたの力が必要だ」という目的の共有(リスペクト)です。どうしても顔出しを嫌がる職人に対しては、「プロの技術を持つ手元の作業風景だけを撮影させてほしい」「ナレーションの声(音声)だけ出演してほしい」と打診し、出演への心理的ハードルを徹底的に下げてあげましょう。

ステップ2:炎上を防ぐ「超簡易版・SNSガイドライン」の策定

安全第一の建設業や製造業において、動画内に「ヘルメット未着用」や「安全帯の不適切な使用」が写り込んでいた場合、大きな炎上や企業の信頼失墜を招きかねません。 まずは明日からでも使える、以下の3つの極小ルールを定めてください。

  1. 安全・法務ルールの徹底: ヘルメットや安全靴、現場の安全基準を100%クリアした状態でしか撮影しない。
  2. ダブルチェック体制: 撮影した動画は、アップロード前に必ず別の社員(上司やコンサルタントなど)が客観的な目でチェックする。
  3. 他者への配慮: 現場周辺の近隣住民のプライバシー、競合他社の悪口を匂わせる内容は絶対に投稿しない。

ステップ3:費用0円、まずは「週1回・15秒」のミニマムスタート

最初は、編集にこだわる必要は一切ありません。例えば、スマートフォンの動画機能で「月曜日の朝礼の1コマ」や「新しい重機が入ってきた時の動く様子」を15秒だけ撮影し、テロップを1行添えてそのまま投稿するだけで十分です。 毎日投稿ではなく、「木曜日の12時に必ず1本投稿する」など、負担のないペースを3ヶ月続けることを最優先目標にしてください。小さな「成功体験(地元の若手からの初めてのコメントなど)」が1つでも生まれると、社内の協力的な空気は劇的に変わっていきます。


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よくある質問(FAQ)

Q. 建設業やBtoB企業のように、地味で「映えない」職種でも本当にSNSで採用できるのでしょうか?

A. 結論から申し上げますと、全く問題なく採用可能です。求職者がSNSで探しているのは「きらびやかな最先端オフィス」ではなく、「職場のリアルな人間関係」や「自分が馴染めそうかという安心感(心理的安全性)」だからです。泥臭くとも、現場でベテランが若手を温かく応援するありのままの風景のほうが、今の若者には深く信頼され、応募への強い動機になります。

Q. SNS担当者を任命したいのですが、通常業務が忙しくてリソースがありません。どうやって時間を作れば良いですか?

A. 既存の業務フローに撮影プロセスを組み込む工夫を推奨します。わざわざSNS運用のために時間を切り分けるのではなく、「移動時間や休憩時間にスマホで15秒だけ撮影する」というようにルーティン化することがポイントです。また、持続可能な運用のために、SNS運用業務を正式な採用評価のKPIに組み込み、企業側がその貢献度を正当に評価・インセンティブを出す仕組みを構築することが極めて重要になります。

Q. シャイな社員やベテランの職人ばかりで、撮影を嫌がられます。どうすれば協力してもらえますか?

A. 無理に「顔出し」を求めるのはやめましょう。「ベテラン職人の素晴らしい技術を持つ手元」を15秒だけ撮影させてもらったり、インタビューの「声(音声)」だけを録音して背景は現場の風景にするなどの配慮からスタートします。さらに、「これからの会社の未来を支える若手を迎えるために、あなたの力必要だ」とリスペクトを伝えることが、現場の理解を得る最大の近道となります。

Q. 万が一の「炎上リスク(従業員の不適切投稿や誹謗中傷など)」が怖くて、なかなか開始できません。

A. 事前のルール策定と、投稿前の第三者(ダブルチェック)チェックを徹底することで、炎上リスクはほぼ100%防げます。特に建設現場や現場作業がある職種では、「安全規定(ヘルメットや安全装備)に反するシーンがないか」を投稿前にチェックするルーティンを作ることが重要です。運用の初期段階では、コメント欄を「非公開」または「承認制」に設定することで、より心理的負担を抑えて安全にスタートすることが可能です。

Q. フォロワーが全国に増えても、本当に「鳥取(自社の地域)」での採用につながるのでしょうか?

A. はい、確実に採用につながります。InstagramやTikTokの動画配信アルゴリズムは、位置情報(GPS機能)や各ユーザーの興味関心を機械学習し、投稿場所から「地理的に近いユーザー」に優先してレコメンド表示する地域連動性が非常に優れているからです。結果として、フォロワーの絶対数が少なくても、地元鳥取在住の求職者や、鳥取へのU・Iターンを検討している潜在層へピンポイントに動画を届けることができます。


まとめ:地方中小企業こそ、SNSを武器に「透明性」で勝負しよう

地方中小企業の採用における最大の敵は、競合する大企業の「知名度」や「圧倒的な資金力」ではありません。自社の本当の魅力や職場の人間関係といった価値が、求職者にとって外から全く見えない「ブラックボックス」になっていることこそが最大の課題です。

求職者は、働くことへの不安や職場の内情に対する心理的不安を、SNS上の「透明性」を確かめることで解消しようとしています。SNS採用は、お金をかけてバズらせる「お遊びのツール」ではなく、求職者とまっすぐに対話するための、経営に直結する極めて強力な投資アセット(資産)です。

ChatGPTや無料ツールは魔法の杖ではありませんが、誰でも今すぐ始められる強力な情報開示の手段です。まずは高額な機材や外注の手配を考えるのをやめ、お手元のスマートフォンを手に取り、普段通りの現場風景を15秒間撮影してみることから始めましょう。その「等身大な一歩」が、未来の優秀な若手社員を呼び込む大きなきっかけになるはずです。


参考・出典

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この記事について

監修

加藤 隆之 株式会社Kotoba 代表取締役・マーケター

Web制作・代理店、大手広告代理店を経て株式会社Kotobaを設立。企業や事業の規模・業種を問わずマーケティング戦略の立案から実行まで従事した経験から、地方・中小企業向けのマーケティング支援を行う。

執筆

株式会社Kotoba マーケティングチーム

地方・中小企業のマーケティング支援を専門とするコンサルティングチーム。Webマーケティング・SNS運用・コンテンツSEOを一気通貫で支援。

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